初めての住宅ローン サイトメニュー 憧れのマイホームまでの道のり

2010年12月09日 首都圏の格安戸建てで潤う

首都圏で「パワービルダー」と呼ばれる住宅会社による格安の戸建て住宅の販売が復調したことで、北陸の建材メーカーが相次いで増産に動いている。大建工業(南砺市)の主力生産子会社は11月の室内ドア生産が単月で過去最大の6万枚に拡大。窓、サッシや和室建具なども各メーカーが生産量を伸ばし、「パワービルダー特需」に沸いている。
「自社ブランドの室内ドアが絶好調。春から生産は増え続ける一方です」。大建工業のドア生産を担う井波大建工業(南砺市)の担当者はこう力を込める。

特に多く発注があるのは、東京郊外など関東圏で安い戸建てを着工する形態の「パワービルダー」と呼ばれる住宅会社だ。リーマン・ショック後の地価下落で安くなった用地を取得し、短い工期で急速に戸数を増やしており、建材需要増加の要因になっている。

三協立山アルミ(高岡市)も、首都圏向けの受注を増やしている。10、11月には玄関ドアの生産が前年同月比2~3割増となり、「つくっては売るといった状態」(営業本部)という。

黒部、滑川両市に生産拠点を持つYKK AP(東京)も、玄関ドアに加え、窓、サッシなどの主力商品が都市部で軒並み伸びている。

大栄建材(射水市)は、パワービルダーにふすまや障子などの和室建具を納めている。昨年は月産1万枚を下回ることもあったが、4月以降は1万1千~2千枚まで回復、人員増強や残業復活などで対応している。

林和彦社長は「都市部は建てれば売れると言った状況で、人もモノも不足気味だ。納期を早くしてくれといった要請もある」と語る。

首都圏で戸建て需要が旺盛な理由について、住宅関係者は、地方に比べてアパートなど賃貸住宅に住む新規の持ち家購入希望者が多い点を指摘する。パワービルダー大手の飯田産業(東京)などは、家賃とほぼ同額のローンで購入できる低価格住宅を提供し、この需要を取り込んでいるわけだ。

大都市圏に進出する北陸の住宅メーカーからも、旺盛な住宅需要を歓迎する声が聞かれる。

東京に営業拠点を持つひまわりほーむ(金沢市)は、首都圏の受注が前年比2~3割増と好調で、特に価格の安い分譲住宅が人気という。加葉田和夫社長は「東京は地方に比べ回復がハイペース。土地も手に入りにくい状況だ」と強調する。

昨年から関西方面での営業を開始した秀光ビルド(加賀市)は、大阪のベッドタウンである奈良の年間着工棟数が150~160戸に上る見通し。本間航也社長によると、地元石川の実績を上回る勢いで推移しているという。

ただ、今の低価格需要は、住宅購入支援の贈与税緩和やエコポイントなど政策効果が支えている側面が大きい。建材メーカーの中でも「低価格はジェットコースターのように需要変動が激しい。中高級向けとバランスを取って手掛ける必要がある」と効果の息切れに備える声が出ている。

過去の記事

ユーロドルは1.29ドル付近でもみ合い続く